Masayuki Kano

2017年9月21日3 分

蓼科高原日記/仄暗い森(2)

「仄暗い森(2)」

別荘の管理事務所や郵便局。土産物屋や共同温泉浴場。広い駐車場。


 

 
そんなものが整備された場所から遊歩道に入りほんの数十メートル進んだだけなのにそこはもう全くの別世界だった。


 

 
道の右手から左手に下る斜面のちょうど中程を遊歩道は貫いている。


 

 
右手に小さめの石を積んだ土留めの石垣が苔(こけ)むした斜面を構成し左手はすとんと落ち込む斜面に多数の樹木が密生していた。


 

 
その多くは赤松やシラビソやカラマツそして広葉樹の白樺やダケカンバでその下にはナナカマドの紅葉が蛍光オレンジの光を放っていた。


 

 
光を求めて彼らは空間を奪い合っていた。


 

 
他の樹木を迂回するように幹は曲がりくねり水平方向に長く枝を伸ばして絡み合うその姿は理屈を越えたおぞましいばかりの生への執念を感じさせる。


 

 
道の表面に浮き出てのたうつ根もまたぞっとさせるような気迫に満ちていた。


 

 
戦いに敗れ枯れて倒木となり朽ち果てた巨木の根が1メートルほどの高さを残して道の真ん中に立っていた。


 

 
その造形美に惹かれて思わずシャッターを切る。信じられないほどのスローシャッターだ。


 

 
どんなに暗くても僕はフラッシュを使わない。三脚も使わない。だから全神経を集中して撮影に没頭した。


 

 
写真を撮り終えてふと気づくとその一角だけが異様に寒く感じる。周囲の世界から隔絶された別の時空間のように感じられる。


 

 
かれらは僕が森を出るころ合いであることを警告していた。たしかにあたりはもうすっかり闇に支配されていた。


 

 
その時初めて間近に渓流の音があることに気づく。浮き出た木の根とぬれた落ち葉が足もとをおぼつかなくさせている。


 

 
こんな時間にこんなところで怪我をしてしまったら一夜をここで過ごさなければならなくなる。


 

 
彼らは正しかった。


 

 
しかし足早に森を抜けて遊歩道を入口まで戻るとそこにはあまりにも鮮やかな

夕景があった。


 

 
まだ日は暮れていなかったのだ

(つづく)

※2008年11月に書いた記事より再掲載。

★★★

2017/09/21(木)の蓼科高原:

今日は朝から快晴でした。最低気温は夜明け時に1℃。最高気温は11℃でした。風はなく陽射しは柔らかく暖かな気持ちのよい一日でした。

今週末は連休です。紅葉の季節も抜群に美しい蓼科高原ですが、黄葉直前のこの季節ならではの心地よい気候はなにものにもかえがたい。

わたしはこの季節の方が好きです。ペンションを始める前には一もこの季節に蓼科を訪れるのが慣例になっていました。

で、結局こちらに移住してしまったわけですが…


 

 

 
★★★
 

紅葉の見頃は白駒池付近で9月下旬ないし10月上旬、ペンション・サンセット付近は10月中旬、観音平など奥蓼科横谷峡は10月下旬、御射鹿池も同様です。ただし紅葉は微妙な気象の変化で変わってきますのでピンポイントでの見ごろは分かりません。
 

 

 
蓼科はどこに行くにもちょうど良い距離にあるいま流行の「ハブ空港」のような存在だと思います。蓼科で心身を休め、ここを起点にして様々な観光地や山歩きやその他の活動に出かける、その基地として最適の立地なのです。
 

 

 
皆様のお越しを「癒やしに満ちた秋の蓼科高原」でお待ちしています。


 

 

 
ペンション・サンセット オーナー 拝
 

 
蓼科高原ペンション・サンセット 公式ホームページ 
 

 

 
今日の写真:「蓼科高原ピラタスの丘・標高1700からの眺め」
 

170919-DSC06768-5

Sony α7, Voigtlander NOKTON classic 40mm F1.4 MC VM + Voigtlander VM-E Close Focus Adapter
 

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