村上春樹について書く。
村上春樹の作品、とりわけその長編はストーリーをさらっと読んだだけではものすごくもったいない。
ストーリーももちろん楽しめる,いささか難解と感じるかも知れないけれど。
しかし村上春樹の真意は物語の中に含まれる数々の回想シーンや聴き語りの伝説や歴史や作中人物の言葉の中に含まれている。
なぜそのように回りくどいことをするのか?
それらが語り得ないものだからだ。
ウィトゲンシュタインがたどり着いた結論のように、われわれは語り得ないモノやコトを思考することができない。
それはわれわれの言語の持つ限界なのだ。
それは語り得ない、指し示すことしかできない。
黙示録は、だから、そのようなモノやコトについて指し示している。
ハネの黙示録もそうだし、フランシス・コッポラの映画地獄の黙示録における【黙示録(アポカリプス)】の意味も同様だ。
それは語りえない、だから、指し示すほかないのだ。
村上春樹の作品は,特にその長編小説は、黙示録として成立しているということを忘れてはならないと、個人的にはそう思って読み返している。
最新作1Q84が村上春樹自身の書いた「空気さなぎ」であると以前書いたのは.そのような意味においてである。
ふかえりの「空気さなぎ」、天吾の書いた「空気さなぎ(青豆の物語)」、作者自身にとっての「空気さなぎ(!Q84)」。そしてそれらが指し示しているもの=「リトルピープル」。
リトルピープルとはオーウェルの1984のビッグブラザーがそうであったように、もちろんメタファーである。
リトルピープルとは何かを注意深く見極めること、それは語り得ないが指し示すことはできる。
リトルピープルに細心の注意を払うこと、時間の流れが切り替わってしまわないように。
それがこの黙示録としての作品が指し示すものだ。
と
わたしは独断と偏見で語ってみる。
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啓示的な夕空/諏訪湖 161130-DSC_1139-9
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